FXを続けていると、どうしても「勝った日」より「負けた日」のほうが印象に残ります。
しかも、ただ負けるだけならまだしも、自分でも納得しにくい負け方をした日は、チャートを閉じたあとまで気持ちが引きずられやすいものです。
エントリーが早すぎた。
本当は見送るべき場面だった。
損切りした直後に戻って、余計にイライラした。
こういう日は、つい「今日はダメだった」で終わらせたくなります。ですが、あとから振り返って役に立つのは、勝った日の記録よりも、実はこういう日の記録だったりします。
ただし、トレードノートを書いている人の中にも、もったいない書き方をしている人は少なくありません。
「-20pipsで終了」「メンタルが悪かった」「ルール違反をした」だけで終わっているノートは、記録としては残っても、次の改善にはつながりにくいです。
大事なのは、負けた事実を書くことではなく、「どこでズレたのか」を見える形にすることです。
負けた結果より先に、そのとき何を見ていたかを書く
負けたトレードを振り返るとき、多くの人はまず結果から見ます。
何pips負けたか、どの通貨ペアでやられたか、損切りは何回だったか。もちろんそれも必要ですが、それだけでは本質が見えません。
むしろ先に残したいのは、そのトレードをするときに自分が何を根拠にしていたかです。
たとえば、
「上位足は上方向だと思っていた」
「押し目候補だと判断して入った」
「ロンドン時間に入って流れが出ると思った」
「直近高値を抜けたので継続すると考えた」
こうした“その場の見立て”を言葉にしておくと、あとで検証しやすくなります。
負けトレードの原因は、エントリーそのものより、前提の読み違いにあることが多いからです。
押し目買いが失敗したのではなく、そもそも押し目ではなく戻り売りが優勢な場面だった。
ブレイクがだましだったのではなく、重要な抵抗帯の真下で飛び乗っていた。
そういうズレは、チャートを見返すだけだと意外と曖昧なまま終わります。
「ルール違反だった」で済ませないほうがいい
負けた日のノートでよく見るのが、「感情的になった」「ルール違反だった」という書き方です。
たしかに間違ってはいません。ですが、これだけだと次も同じことを繰り返しやすいです。
たとえば「ルール違反」といっても、中身はいろいろあります。
本当は東京時間では入らないルールだったのに入ったのか。
損切り幅が広すぎたのか。
指標前は触らないと決めていたのに、我慢できずに入ったのか。
一度負けたあと、取り返したくて連続エントリーしたのか。
同じ「ルール違反」でも、原因はまったく違います。
時間帯の問題なのか、相場環境の見極め不足なのか、それとも感情処理の問題なのか。そこを分けて書いておかないと、改善の方向もぼやけてしまいます。
負けた理由を曖昧な言葉でまとめると、ノートを書いた気にはなっても、自分の癖はなかなか見えてきません。
少し面倒でも、「何のルールを、どう破ったのか」まで具体的に残したほうが、あとで効いてきます。
そのトレードを、今の自分は再現したいのか
これは意外と大事な視点です。
負けたトレードの中には、結果はマイナスでも内容は悪くないものがあります。
逆に、たまたま利益になっただけで、再現したくない雑なトレードもあります。
だからノートには、「勝ち負け」だけでなく、「この判断を今後も繰り返したいか」を書いておくと役立ちます。
たとえば、上位足の方向、エントリーの場所、損切り位置、利確の考え方まで一貫していて、結果だけがたまたま逆に振れたなら、それは悪い負けではありません。
そういうトレードは、数字だけ見ると損失でも、次につながる負け方です。
一方で、エントリーした理由が曖昧だったり、伸びたから持っただけ、怖くなったから切っただけ、というトレードは、たまたま勝っても残す価値が薄いです。
トレードノートを続ける意味は、「勝率を上げる」ことだけではありません。
自分が積み上げたい判断と、切り捨てたい判断を分けていくことにあります。
ノートを書くときは、きれいにまとめすぎない
トレード後にノートを書くと、どうしても“あとから見れば正しい答え”に寄せてしまいがちです。
本当は迷っていたのに、あとから「ここは戻り売りの場面だった」と綺麗に整理してしまう。これは少し危険です。
なぜなら、実際のトレード中の自分は、そんなに冷静ではないからです。
だからこそ、ノートにはその時点の迷いも残しておいたほうがいいです。
「本当は見送るか迷った」
「上がると思ったが、自信は強くなかった」
「1回目の損切り後に熱くなっていた」
「取り返したい気持ちが少しあった」
こういう部分は、見た目には整っていなくても、あとで読むとかなり重要です。
むしろ、そこに自分の弱点やクセがそのまま出ます。
トレードは、手法だけでなく、そのときの心理状態にも強く影響されます。
だからノートも、綺麗な反省文にする必要はありません。少し生っぽいくらいの記録のほうが、実際には役立ちます。
負けた日ほど、次の日のルールを一つだけ決める
負けトレードを振り返ったあと、反省点をいくつも並べる人は多いです。
でも、改善点を増やしすぎると、次のトレードで結局何も意識できなくなります。
だから、負けた日のノートの最後には、「次回はこれだけは守る」という項目を一つだけ書いておくのがおすすめです。
たとえば、
次回は指標30分前には新規で入らない。
次回は1回目の損切り後、すぐに取り返しにいかない。
次回は5分足だけで入らず、1時間足の位置を確認してから判断する。
一つで十分です。
トレードは、急に別人みたいにうまくなるものではありません。ですが、ひとつずつ崩れやすい部分を減らしていくことはできます。
負けた日をただ嫌な日で終わらせるのではなく、次の判断を少し整える日に変えられると、トレードノートはただの記録ではなくなります。
FXでは、勝った日の記録よりも、負けた日の記録のほうが自分をよく映します。どこで焦ったのか、何を見落としたのか、なぜその場で入りたくなったのか。そういう部分を丁寧に残していくと、自分の弱点だけでなく、逆に自分が得意な形も見えてきます。負けを消すことはできなくても、負けを次に残すことはできます。トレードノートは、そのためのかなり現実的な道具だと思います。
おわりに
もちろん、負けた時の精神的な負担や実際のダメージを和らげるために、キャッシュバックサービスを活用して日々の取引コストを抑えるといった工夫をあらかじめ取り入れておくことも、FXの世界で長く生き残るためには大切な視点です。
FXでは、勝った日の記録よりも、負けた日の記録のほうが自分をよく映します。どこで焦ったのか、何を見落としたのか、なぜその場で入りたくなったのか。そういう部分を丁寧に残していくと、自分の弱点だけでなく、逆に自分が得意な形も見えてきます。
負けを消すことはできなくても、負けを次に残すことはできます。トレードノートは、そのためのかなり現実的な道具だと思います。